当たり前と思い込む前提が
そもそも事業創造を阻む!
~先ずは「前提」を疑い抜本的に見直す
「勇気」を持つことだ!~
私は26年間経営コンサルタントをやってきて強く感じる事があります。
100%の確率でうまく運ばない経営は「その前提」が既に市場や顧客のニーズに合致していないものです。
それにもかかわらず、100%の経営者は「その前提」だけは外せないと主張します。
〇創業者がやった事は今更変えられない
〇現会長がいる限りそんなことは無理だ
〇全取締役がその前提の中でやってきているのでそれを変える事はできない
と言うのです。
確かに気持ちは分かりますが、それじゃ経営コンサルティングをうけるつもりはあるのですか?と逆質問したくなる。
要するに、八方美人なのだろう。あちらにも顔を立てて、こちらにも言いなりになる。それでいて行き詰まって「事業創造」をしたいとなるが、「既存事業に影響が出るような事業は困る(カニバリゼーションは嫌だ)」と言うのだろう。
だからこそ、次世代経営者を選抜する必要があります。彼らは明らかに既に行き詰まり年々業績悪化する既存事業にしがみついてはいないからです。仮に今後1年~3年程度は持ちこたえても彼ら若い世代にはもはや「無用の長物」でしかなくなる既存事業は、たとえカニバリゼーション(新規事業によって既存事業の寿命は短縮すること)が起きたとしても、果断に勇気を持って事業創造をやり遂げることはできます。
そのための方法は、「まずは前提を疑い抜本的に見直してみること」です。
以下にその具体的なやり方を列挙します。
❶「個人レベル」のイノベーション力を強化する
■自分の中に「小人(前提を疑う)」を設定してその「小人(前提を疑う)」と言う別の角度から現実を見直す
■論理的にはあり得なくてもあえて自分の「直観」を信じてやってみる
■誰とも「あえてつながらない時間帯」を持つ(自分の内面的な世界に行く)
■自分の頭の中の混沌(ごちゃごちゃ)を図示してみる
■最初の「答え」には飛びつかない(思い込みに縛られている答えかもしれない)
上記のようにまずは個人での内省・内観が重要です。
その次が、その発見やアイデアを共有します。
❷「小集団レベル」のイノベーション力を強化する
■小集団を作り、何でも相互に質問する。
全員が何でも質問できるように奨励する。(発言を否定しない)
■他部署にいる優秀で大胆な人財に参加を促し討議を客観的に指摘してもらう
■コンサルタント等に依頼して、社内の常識や慣習の壁を指摘してもらう
■「もし・・・だったら」と言う問いを互いに投げかけてワイガヤをして既存の不文律(ルール)を打ち破る
■新しい部署になったつもりで今までの「ルール」を敢えて破る「新ルール」を構築する(恐らく過去の人々には都合が良いルールだったろうが今の現実には相応しくない状態になっている)
つまり事業創造が阻まれる理由の大半は「前提条件との確執」にあるからです。
〇既存顧客には提供しない(既存事業に影響が出ると困るから)
〇既存事業と同じ協力会社を使わない(既存事業製造に影響が出ると困るから)
〇投資資金(内部留保:自己資金)はほとんど無いので、新規事業を手っ取り早く興して新規売上を作って自転車操業にて運営して欲しい
などと言う制約条件が居並ぶと、事業創造は暗礁に乗り上げてしまいます。
つまり、経営側が「本気で既存事業の行く末に危機意識をもっているのか?」
「この危機を乗り越えるには既存事業も必ず影響を被る」
と言う認識で開始することが出来るか?にまずはかかっています。
要するに「事業構造転換をする事から事業創造はスタート」します。
その点中堅中小企業の方がはるかに小回り利いてきます。(最短2年)
反面大企業は最短でも5年~10年の構造転換期間が必要(経営破綻・解体ならば4年~5年)になるからです。
私が見てきた「富士フイルム」は10年。「富士ゼロックス」は既に5年(ただしこれから本格的な事業解体や再編成があるでしょう)社会的な影響もあり、なかなか経営再建が進まないのが実情です。
だからこそ、地方の中堅中小企業の方に私は注目しました。大企業が最短でも2025年までかかる事業創造をいち早く2021年までに成し遂げることで、需要創造を先回りすると言うことです。大企業の向かう方向性は明らかですので、早くその新事業分野に参入することが重要だと思います。もちろん下請けはもう嫌だと言う場合は、元請けになるような新規事業を創造する事になりますが、わずか3年だと大した売上にはならないと言う覚悟がいるでしょう。